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  • 第16回蝙蝠(コウモリ)との出会い

    2009年10月26日花林舎

    花林舎動物記
     平成20年6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今回は第16回「蝙蝠との出会い」です。

    第16回蝙蝠(コウモリ)との出会い

    コウモリはかわいい動物
     コウモリといえば、吸血鬼ドラキュラを連想して気味悪く思う人が多いようですが、実はとてもかわいい動物です。
     私が子供のころ育った家の周りには以前馬検場だったという原っぱがあり、近所の子供たちは毎日そこで遊んでいたのですが、夏の夕暮れ時になるとどこから来るのかコウモリが現れてひらひらと高く低く飛び回るのです。これを見ると子供たちは石や木切れなどを空に投げ上げます。するとコウモリはさっと近寄ってくるのですが、それが餌でないとわかるとなんだというように離れていきます。何度やってもコウモリは近寄っては離れることを繰り返します。子供心にもコウモリにすまないなという気持ちもありましたが、やめられません。空が濃い灰色になってコウモリが見えなくなり、家に帰らなければならなくなるまで遊びました。
     ですから私はずっとコウモリはかわいい動物だと思っていました。今の家に住むようになってから、どうにかしてコウモリが我が家に住み着いて、時々は家の中をひらひらと飛びまわったりしないかなあと思うようになりました。

    私が泊まっていたコテージ。ここでコウモリに出会った。
    私が泊まっていたコテージ。ここでコウモリに出会った。残念ながらコウモリの写真が見当たらず・・・。


     子供のころの経験からコウモリはどこにでもいると思っていたのですが、実際はそうではないらしく今の私の棲家のあたりでは残念なことにコウモリを見かけることがありません。
     いや、たった一度、まだ子供たちが一緒に住んでいたころですが、ある夏の日の夕方、その日は薄暗くなってもまだ電気をつけていなかったのですが、家の中をひらひらと黒い影が飛びまわっているのに気づきました。始めは蛾だろうと思っていたのですが飛び方が軽やかすぎますので、「もしかして!」とひらめいて電気をつけてみたらコウモリでした。しかし喜んだのも束の間、コウモリは開いていた窓からさっと飛び出して行ってしまいました。それ以来近くでコウモリを見たことはありません。あのコウモリはどこから来て、なぜ我が家に入ってきたのでしょう。
     でもこれでコウモリがもしかしてまた家の近くに来ることがあるかもしれないという希望が生まれましたので、3階の裏窓をいつも少し開けておきコウモリが屋根裏に入って来られるようにしました。古い大きな農家などでは、屋根裏にコウモリが住み着いていることがあるという記事を見たことがあったからです。しかし、厚いカヤぶき屋根の洞窟のような屋根裏と違って、木造トタンぶきの屋根裏はコウモリのお気に召さないのか、そもそもコウモリがいないのか今もってコウモリが来た気配はありません。その代わりスズメが2回巣を作りました。我が家がコウモリ屋敷になる望みは無さそうです。

    コウモリの呪い?
     やむをえませんので、別のところで出会ったコウモリの話をします。
     数年前の3月に仕事で南の方に行ったことがありました。小さいコテージ(小屋)に宿泊して10日ばかり働いたのですが、ある朝ベッドの脇の床の上にネズミの糞のような小さい黒い粒が落ちているのに気がつきました。昨夜はこんなものはなかったのに変だな、と思いましたがその日はそのまま仕事に出ました。夕方帰ってきたときにはコテージの掃除がすんでいますので黒い粒はありませんでした。
     しかし翌朝また同じ所に同じような粒が落ちていました。上を見るとそこには梁が通っていました。きっと梁の上に鼠がいて夜に糞を落とすのだろうと考えて納得しました。
     ところが、次の日の夜、夕食から戻ってコテージに入ると中で1羽のコウモリが飛びまわっているではありませんか。片手に入るくらいの小さいコウモリです。どこから入ってきたのかわかりませんが出してやろうと思って、窓を開けて新聞紙を丸めたものを振り回していたら、運の悪いことにコウモリに当たってしまったのです。コウモリは床の上に落ちて動かなくなってしまいました。
     「しまった、可哀そうなことをしてしまった」と悔やんだものの、もう後の祭り、と思った時コウモリはふらふらと飛びあがり梁の上にたどりついて隠れてしまいました。やれやれ、殺さないでよかった、とホッとして寝たのですが・・・。
     夜中にふと目が覚めました。吸い寄せられるように梁の上に視線が行きました。すると真っ暗な中で赤い2つの小さな目(?)がじっと私の方を見ているではありませんか。目をこらして見つめないとあるのか無いのかわからないような小さい赤い点です。しかし私はまたふっと眠ってしまったようです。あれは夢だったのか現実だったのか思い出そうとしてもはっきりしません。
     翌日、滅多に風邪をひくことのない私が熱が出て頭が痛く意識がぼんやりして起きているのがつらい状態になりました。何とか仕事を終わらせて家に帰ったのですが、1カ月近くも苦しい状態が続いたのです。これはコウモリの呪いだったのでしょうか。

    宿泊したコテージの内部。
    宿泊したコテージの内部。
    胸ポケットの中で
     さて、翌年の同じころまた同じコテージに泊まって仕事をしました。今度は黒い粒も落ちていませんでしたし、赤い目に睨まれる夢(?)も見ませんでした。その代わりに思いがけない拾いものをしました。生きたコウモリを1匹拾ったのです。
     朝、入口の風除室のようになっているところの戸を開けるとそこの床の上に小さいコウモリが1羽うずくまっていました。前の晩急に寒くなったため動けなくなっていたのでしょう。私は拾い上げてワイシャツの胸ポケットに入れました。それほど小さいコウモリだったのです。コウモリは暖かいところにおさまって極楽、極楽と思ったのでしょう、全く動くことも無く夕方までポケットの中でじっとしていました。コウモリの腹部はネズミの腹と同じようなもので柔らかくて気持ちがいいということがわかりました。
     しかし、寝るときになって困ってしまいました。迷った末コウモリと別れるのは残念だったのですが、ポケットから出して放してやることにしました。まだ少し寒いので枝葉の茂った南方系の針葉樹の茂みの中に置くのがいいだろうと思い、その幹にそっと置きました。
     すると1日中じっとしていたコウモリが何と驚くような速さでするするするっと幹をよじ登って上の茂みの中に姿を消してしまいました。コウモリがこんなに速く歩けるなんて夢にも思っていませんでしたので、あっけに取られてしまいました。
     コウモリを飼うのはなかなか難しそうです。


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