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  • 花林舎動物記 第6回妄想的汚水浄化生態園(2)

    2008年11月28日花林舎

     6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今月は第6回「妄想的汚水浄化生態園(2)」です。

    第6回妄想的汚水浄化生態園(2)

    清澄な水になるまでの長旅

    ≪第4ゾーン≫
     第4ゾーンは大きな池で、この汚水浄化生態園の中心です。いろいろな条件の場所を造ってあり、様々な動物が棲息できるようにしてあります。前号に書きましたが再掲載します。
    a―昆虫など...ボーフラ、ユスリカ幼虫、ヤゴ(トンボの幼虫)、ホタルの幼虫、イトミミズ、ミジンコ
    b―貝類...タニシ、カワニナ、モノアライガイ、カラスガイ、ジャンボタニシ
    c―両棲類...オタマジャクシ(カエル、サンショウウオ)
    d―エビ類...ヌマエビ
    e―魚類...メダカ、グッピー、カダヤシ、金魚、フナ、ドジョウ
     この他たくさんの動物が棲息できると思いますが、よくわかりませんので省略します。
    汚水浄化生態圏

     棲息条件としては次のようなものがあります。
    ①水深...5~50センチ
    ②護岸材料...土(草地)、砂利、石、松杭など
    ③地形...緩斜面、急斜面、垂直面
    ④底...大半は土、一部砂利、石
    ⑤岸の形...直線、凸面、凹面、小さい凹凸(石を並べたところ)
    ⑥その他...草の生えた島、大石、倒木、水中の石
     それぞれの動物は、これらの複雑な条件の中から自分の好きな棲息地を選べばいいわけです。池の周囲は広い草地になっていて、木も少し生えています。蚊、ユスリカ、トンボ、ホタル、カエル、サンショウウオは水中だけでなく、陸上で生活する時期がありますから、陸地も必要なのです。
     汚水浄化を微生物だけで処理する場合は、最終生成物として汚泥(微生物の身体、死骸)ができ、これを取り除かなければなりませんが、この浄化生態園では汚物は動物、植物の身体になるわけです。
     動物の場合は蚊、ユスリカ、ホタル、カエルのように自分で水から出て陸上に上がってもらうものと、魚、エビ、貝のように水から出られないものがあります。
     後者は増えすぎたら人手で捕らえて出します。蚊やユスリカがあまり大発生するのも困りますから、トンボやコウモリなどにせっせと捕食してもらいます。
     汚物が分解して水中の栄養分になってしまったものは動物は直接吸収できませんから、植物に吸収させて、その植物を動物に食べてもらいます。

    ≪第5ゾーン≫
     第5ゾーンは単純な構造になっています。池があって中島が2つあるだけです。ここにはアヒルが少数放してあり、第4ゾーンから流れてくるウキクサ、ウォーターレタス、ホテイアオイなどの水草を食べます。餌は原則としてやりません。餌をやると糞が多くなって、また水が汚れてしまうからです。
     池の中にはタニシ、ドジョウ、ヌマエビ、グッピー、メダカ、金魚、ミジンコ、ユスリカ、オタマジャクシ、ボーフラなどが棲んでいて、アヒルの糞を餌にしています。

    汚水浄化生態圏

    ≪第6ゾーン≫
     最終の第6ゾーンは南向きの緩斜面です。斜面の上部に穴が開いた管が地下20センチの深さに埋めてあります。すでにかなりきれいになった水がこの管から地中に染み出して行きます。この斜面は深さ30センチ以下が粘土地盤になっているため、水は下には浸透せず、斜面に沿ってゆっくりと流下します。
     斜面にはコンフリー、フキ、牧草類、クサソテツ、ヤマドリゼンマイ、その他湿った土地を好む草が密生していて、栄養豊富な水を吸って旺盛な成長をします。草が伸びてくるとアヒルが食べますが、食べきれない時は山羊や羊を放します。
     草が吸収し切れなかった水は、斜面下部の集水管で集めて湧出させます。土の中を通ってきた水は飲めるほどに清澄な水になっています。

     汚水の長い旅はこれで終わりです。


    第5回 妄想的汚水浄化生態園(1)
    号外編 原種シクラメン・ヘデリフォリュームの紹介
    第4回 ボーフラとオタマジャクシの知られざる効用
    第3回 哀しきマムシ
    第2回 アオダイショウは可愛い
    第1回 ナメクジ退治