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第15回ダニの「あなた任せ」人生

花林舎動物記
 平成20年6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今回は第15回「ダニの「あなた任せ」人生」です。

第15回ダニの「あなた任せ」人生

ササや木の枝から決死のダイビング
 我が家の犬達は以前、山林の中を駆け巡っては、たくさんのダニをくっつけて帰ってきました(今は老衰して寝てばかりいます。今年の冬のある日、犬小屋の中で冷たくなっていることでしょう)。
 このダニはまことに「あなた任せ」の生き方をしているように私には思えるのですが、それでも死に絶えることなくずっと生き続けているのですから、人間社会のダニと同じく案外うまい生き方なのかもしれません。
 犬につくダニは初めは体長1~2ミリしかなく、よく目を凝らして見ないと見えないほど小さい生き物です。林の中のササや木の枝に付いていて、下を動物が通りかかると落下してその動物に取り付くのだそうです。うまく動物の上に落ちればいいのですが、外れてしまうとまた木によじ登ってやり直すのでしょうか。それとも「エイめんどくさい、もう俺の人生はこれでおしまい」とふてくされてやめてしまうのでしょうか。そこのところは、ダニの本にも書いてありません。それにしても、あんなに小さいダニを観察してこういう行動を発見した研究者はたいしたもんだと思います。
 我が家の犬達は1頭が1年間に(雪融け後間もなくの頃から秋の中ごろまで)100匹以上のダニに寄生されていましたから、めくらめっぽうのようなダニの作戦も意外に効率がいいのでしょう。それとも山野の藪の中はダニで満ち満ちているのでしょうか。
 ダニの方からすると、犬や人が通りかかる確率は極めて稀なわけで、通常は野鼠、野兎、狐、タヌキ、テン、リス、鹿、猪、熊といった野生動物たちに取り付いてその血を吸って生きているのです。
 ある時外で仕事をしていて、可愛い野鼠を1匹捕まえました。捕らえ方が悪かったのかすぐに死んでしまったのですが、あまりにもきれいな鼠でしたので子供達に見せてやろうと思い、ビニールの袋に入れておきました。ところが、2、3時間して取り出してみたら、何と無数の小さいダニが鼠の死体の表面をうごめいているではありませんか。鼠が死んで生き血を吸えなくなったダニ達が移動しようとして体表に出てきたのだと気が付きましたが、その数の多いことにびっくりしました。
 1匹の小さい鼠にこれほど多数のダニがついているのですから、自然界のダニの数たるや想像もつかないほどの量であると推測されます。

 野うさぎの目の周りについたダニ
この野兎は目のまわりに3匹、目の先2cmほどのところに1匹と、計4匹のダニが付いている。


犬のダニ取りは楽しいぞ

 さて、うまく犬に取り付くことのできたダニは、血を吸いやすい場所を探して動きまわります。犬をなでてやっていると、まだ定着しないで体表を歩いている小さいダニが見つかることがあります。クモの仔によく似ていますが、紅くて平べったい体型をしているので区別がつきます。
 ダニが1番良く付くのは耳と目の周りです。口の周りにも付きます。胴体では脇腹と下腹に多く背中にはあまり付きません。
 耳には表側にも裏側にも付きます。ひどいときには片耳で10匹、両耳で20匹も付いていたことがありました。
 これを取ってやるのが私の楽しみの1つで、まだ米粒大の小さいのから大豆くらいの大きさのものまで、さまざまの大きさのダニを親指と人差し指でつまんでグイと引っ張ると、ブチッという音がしてダニが取れます。小さいダニほどしっかりと噛み付いていて、少々の力では取れません。犬によって、また付いている場所によって反応が違うのですが、痛がってヒーヒー泣くのを押さえつけて取るのです。何度もやっていると、私の姿を見ると逃げていってしまう犬も出てきます。それでも、耳や胴体に付いたダニは取らせてくれるのですが、目の縁についたダニは目を傷つけられると思うのか嫌がって、なかなか取ることができません。そのうち大きくなって自然に落ちてしまいますが。
 胴体についたダニは犬の身体をなでてやっていると、手にふれるので発見できます。米粒大のダニでもわかります。胴体に付いたダニを取る時は痛くないのか犬は平然としていますので容易に取ることができます。
 取り付いた最初の頃は薄くて1ミリか2ミリほどのダニが、血を吸って育ち最後にはまん丸に膨れて直径1センチほどの大きさになります。といっても頭、胸、脚はほとんど成長せず腹だけが大きくなるのです。この中には犬の血が詰まっていて、やがて無数の卵に変わり微小な仔ダニが生まれてくるのですが、我が家の犬に付いたダニはその辺に落ちてしまいますから、仔ダニ達は次の獲物に取り付くチャンスはほとんど無いでしょう

人間にも付くが心配はいらない
 このダニは人に付くこともあります。私にも2回付きましたが、全く痛くも痒くもないのでしばらく気が付きませんでした。1度目は頬っぺたに急に疣ができたと思ってそれをいじっていたらポロリと落ちて、拾ってみたら小さい足があって動くのでダニだとわかりました。2回目は、風呂に入っているとき脇腹に疣のようなものがあって、これは前の経験があったのでダニだろうと思って引っ張ってみると、食いついた細い口が見えてやっぱりダニでした。強く引っ張ると痛くも何ともなく取れました。犬達がなぜあんなに痛がるのかわかりません。ダニは犬と人とでは違う対応をしているのかもしれません。このダニは病気をうつすとかいうことはないようですから、食い付かれてもどうということはありません。
 もっとも、犬の場合はこのダニの噛み跡から膿瘍という腫れ物ができることがあるそうです。我が家の犬も1頭背中にこの腫れ物ができました。直径1.5センチほどの球ができたと思ったら、それが破裂して血がジクジクと滲み出してきました。私は癌になったのかと驚きましたが、万病に効く秘密の特効薬を1ヵ月ほど飲ませたら治りました。薬代は約3万円かかりました。

犬の目の縁についたダニ
我が家の飼い犬の目の縁にダニが2匹付いている。


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このページは、管理者が2009年9月29日 10:21に書いたブログ記事です。

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