いわけんブログ
『そのとき地元建設業は』~3.11東日本大震災、最前線の記憶~(第31回)
2014年12月19日岩手県建設業協会
東日本大震災における道路啓開等作業従事者証言集
東日本大震災における被災現場の最前線で、地元建設業者は人命救助活動や道路啓開作業、応急・復旧作業などにあたりました。その活動は、震災当日から翌日にかけて始まってい ました。
地元を熟知して、重機類を保有する地元建設業者は当初、緊急車両などの通行を確保する為の道路啓開作業(1車線だけでも通行できるようにする)が主な活動でした。行政や 地元住民との信頼関係を築いていたことが迅速な活動につながりました。
『そのとき地元建設業は』~3.11東日本大震災、最前線の記憶~では、最前線で作業にあたった方々の「生の声」をお伝えします。建設業者が果たした役割について再確認す るとともに、震災の実情を風化させないことを目的としております。
(第16回より、内陸からの後方支援を掲載しています)
第31回は(株)中舘建設(二戸市)土木部長 大鳥義博さんです。(株)中舘建設 大鳥義博さん(48歳:震災当時)
《職種》土木部長(震災当時:土木課長)
《啓開作業時の作業内容》指示役
「土木部全員で昼夜を問わず、力を合わせて」―震災発生時は
ちょうど電子入札のためにパソコンに向かっていました。停電になり、入札は後日となりました。その日は、国交省や岩手県の依頼で道路の点検を行いましたが、被害は比較的少な かったです。
―沿岸部での支援活動は
当社は二戸国道維持出張所の指示で動きました。携帯が通じないので、出張所に詰めて直接話をしました。3月13日の夜には盛岡西国道維持出張所、盛岡国道維持出張所で常温合材を積み込み、釜石維持出張所まで運びました。
14日には、宮古市の三陸国道事務所管内に自社のタンクローリーで軽油を運びました。そのまま22日まで、宮古港に入っていたタンカーからの軽油運搬に従事しています。発電機や啓開作業に使うための燃料だったと思います。3日程度の交代制として、同事務所に宿泊して対応しました。私は最初の班に同行しています。―他にも支援活動を行ったのですか
23日には、山田町内に暖房用の灯油を運んでいます。14日の夜には、H鋼付の仮設ガードレールを釜石維持出張所に運搬しました。この班には社長自らが同行しています。
この頃は会社の中もパニックでした。管内の道路除雪にも人が必要でしたので、土木部全員で昼夜を問わず、力を合わせて対応しましたね。―この年の初めには二戸地区を大雪が襲いましたね
大みそかからの大雪で、道路は通行止め、倒木で送電線が切れて数日間の停電がありました。私たちは道路復旧に追われて、1月5日にやっとお風呂に入れました。大変な年でしたね 。
―震災当初、高速道路は通行止めだったと思いますが
二戸国道維持出張所の手配で、緊急車両の通行証を警察で発行してもらい、高速道路を使うことが出来ました。警察では迅速に対応いただき、道路の状況についても情報を貰いまし た。
高速道路は、路面が沈下や隆起などで凹凸があり、夜間で見通しが利かなかったこともあって、スピードを抑えて走りました。正確な時間は覚えていませんが、かなりの時間 を移動に要しました。―被災地を目にしたときは
何とも言えない光景でしたね。停電の影響で情報が少なく、内陸で考えているのと10倍も100倍も被害がひどいなと感じたのを覚えています。タンカーの横では、港に沈んだ車を揚 げていました。中には人が乗っていたのだと思います。啓開した道路沿いにも犠牲者の方がいたようです。
―作業において気を付けたことや困ったことはありますか
昼夜作業なので、必ず交代要員を付けて人員を配置するようにしました。
当初は食料の頭が無く、現地でおにぎりを少々いただきました。次の班からは二戸で食料等を調達して持参するようにしました。ただ、二戸でも食料を確保するのが難しかっ たです。―携わっての教訓や思いはありますか
我が社は国道4号線の維持工事をやっていて、ある程度は緊急事態に備えていました。実際に大きな災害に直面すると、多くの戸惑いや混乱がありました。この教訓から、迅速に対 応できるよう体制を見直しています。
携わった社員は、大変だったと言う者もいますが、最終的には少しでも役に立てて良かったと話していました。三陸国道事務所では最終日、所長から直々に感謝の言葉を頂い たそうです。
(おわり)
『そのとき地元建設業は』~3.11東日本大震災、最前線の記憶~
href="https://www.iwaken.or.jp/info/2015/03/04_1755.html">第38回(最終回) (株)山千(大槌町)代表取締役 山崎 真さん
href="https://www.iwaken.or.jp/info/2015/02/21_1742.html">第37回 (株)藤原組(大槌町)専務取締役 藤原 士さん
第36回 松村建設(株)(大槌町)土木部長 松村康文さん
第35回 (株)共立土木(陸前高田市)工事課長 鈴木正幸さん
第34回 (株)かねまつ建設(陸前高田市)取締役専務 菊池秀明さん
第33回 (株)長谷川建設(陸前高田市)営業部長 吉田昭彦さん
第32回 南建設(株)(軽米町)取締役社長室長 田中一也さん
第31回 (株)中舘建設(二戸市)土木部長 大鳥義博さん
第30回 成和建設(株)(花巻市)重機車両部執行役員部長 民部田正道さん
第29回 (株)小原建設(北上市)小田島愼さん
第28回 髙惣建設(株)(奥州市)高田営業所長 小野寺正晴さん
第27回 (株)山友建設(一関市)熊谷堅美さん
第26回 (株)山喜建設(一関市)三浦公夫さん
第25回 横田建設(株)(一関市)高田営業所長 新沼克則さん
第24回 鈴木工材(株)(一関市)菊地勝則さん
第23回 宇部建設(株)(一関市)工事副長 千田祐欣さん
第22回 (有)矢萩建設(一関市)重機主任 関村一男さん
第21回 吉田建設(株)(盛岡市)三浦一春さん
第20回 盛岡舗道(株)(盛岡市)機械係長 高橋直美さん
第19回 三陸土建(株)(盛岡市)伊藤成美さん
第18回 松田重機工業(株)(遠野市)重機部長 菊池隆悦さん
第17回 佐藤工業(株)(遠野市)飯森清幸さん
第16回 (株)テラ(遠野市)常務取締役 小笠原秀夫さん
第15回 (株)晴山石材建設(野田村)上川寿隆さん
第14回 (株)晴山組(野田村)山田 勉さん
第13回 兼田建設(株)(久慈市)大尻明男さん
第12回 佐藤建設(株)(田野畑村)常務取締役 片座康行さん
第11回 富山建設(有)(山田町)代表取締役 富山由光さん
第10回 三好建設(株)(宮古市)土木部次長 小川 司さん
第9回 大崎建設(株)(田野畑村)橘 良友さん
第8回 工藤建設(株)(岩泉町)土木部技士 西倉淳也さん
第7回 刈屋建設(株)(宮古市)五十嵐 和朗さん
第6回 (株)小松組(大船渡市)代表取締役 小松 格さん
第5回 (株)青紀土木(釜石市)萬 寛さん
第4回 佐野建設(株)(釜石市)八重樫充さん
第3回 新光建設(株)(釜石市)工事課長 中村 明さん
第2回 (株)中澤組(大船渡市)機材主任 霜山 隆さん
第1回 (有)熊谷技工(大船渡市)専務取締役 熊谷芳男さん
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