花林舎動物記
平成20年6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今回は第19回「マムシ家族」です。
第19回マムシ家族
花林舎で見られる蛇の種類
2008年は、マムシとこれまでになく多く出会った年でした。その2年前までは青大将が多く、堆肥小屋に8匹も重なり合って休んでいるのを見たこともあります。最長で170センチ(尻尾を持ってぶら下げて私の背と比べてみたものや、ぬけがらを測定したもの)もありましたから、花林舎の敷地は青大将が制圧していて他の蛇類は小さくなって暮らしているのだろうと推測していました。
他の種類は稀にしか見かけないのですが、堆肥舎の一部に以前作った地下の室(深さ50センチ、縦×横=2メートル×1メートル)の蓋を開けて見たら、150センチほどもあるヤマカガシとその子分と思われる数匹が潜んでいて驚いたことがありました。このヤマカガシの親分はその後不運にも我が家の犬に噛み殺されてしまいました。
シマヘビにはめったにお目にかかれません。昨年は二度ジムグリと思われる頭の小さい滑らかな肌をしたとてもおとなしい蛇に会いました。一度はその名の通り地面の中に潜って行って姿を消してしまいました。
さて、本題のマムシですが、社宅の物置のあたりに1匹住みついていて、これには3~4回出会っています。色は地味な灰褐色で大きさは中位、典型的なマムシ体型です。物置の脇に堆肥を造る木枠を造ってあるのですが、そこに雑草を投げ込もうとして近寄った時、木枠の前にいて、危うく踏みつぶすところでした。一生懸命逃げようとしているのですが木枠にさえぎられて逃げられないのです。逃げる方向を横に変えればいいのに本当に間抜けなマムシでした。あわてふためいて、「助けて、助けて」と言っているような姿がおかしくていっぺんで好きになってしまいました。1年に1回くらいこの付近で出会いますが少しずつ大きくなっています。
昨年の秋に出会った時は木枠の中の堆肥の上でトグロを巻いていました。トグロを巻いている時は1メートルくらいは跳び上って噛みつくことがあると聞いていましたから、少し離れたところから見ていたのですが、相手もじっとこちらを見て動きません。「君に危害を加えるつもりはないからね」と言う私の気持ちが分かるのか、穏やかな表情でした。今は多分この堆肥の下で冬眠しているのでしょう。
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花林舎動物記
平成20年6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今回は第18回「インコと娘の涙-2」です。
第18回インコと娘の涙-2
壁の中のインコ
私が事務所にいるときはインコはたいてい事務所の中に放しています。インコは私と遊ぶのが好きで、肩にとまったり、懐に潜り込んだり、机の上で紙をパシパシパシと噛んだり、鉢植えの植物を噛んだりします。私の周りから離れないので仕事ができません。そこで時々外の廊下に出しておくのですが、ドアのガラスのところから私の方を見て「入れろ、入れろ」と泣くので、ついついまた中に入れてしまいます。仕事が溜まっていて相手をしていられないときは、やむをえませんので篭に入れておきます。
こんな風にインコはますます私に慣れてきて、多分もう外に出しても逃げていかないだろうと思えるようになりました。しかしこんな失敗(と言うのかどうか)もしました。ある日、家の中に放していたインコがふと気がつくとどこにもいません。風呂場の窓が開いていたのに気がつかないで放したので、外へ出てしまったのです。急いで外へ出て家の周りを一巡りしますと、嬉しいことに妻がすぐに見つけて「あそこにいる」と指差したのは隣家の庭木の上でした。
インコは元からこのあたりを縄張りとしている野鳥のように落ち着いて木の上にとまり、毛づくろいなどしています。驚かさないようわずかに近寄り何気ない声で「ピーコ」と呼んでみました。するとインコは初めて気付いたというように顔を下に向けて、目玉をくるりと回して私の方を見ました。それから「なーんだ、あんたかい。しょうがないなあ」とばかりにふわりと飛び立って私の肩に降り立ちました。
この年の11月、私たちは山の中の新居に移りました。インコにとっても新しい環境に変わったわけです。新居は冷え切っていてとても寒く、インコはしばらく篭に入れて暖かい場所に置いておきました。
春になってから娘が「いくら懐いたといってもインコも1羽では淋しいんじゃないかしら」と言いだして、インコをまた1羽貰ってきました。新しいインコは前からいるインコほどは人に慣れてなくて、籠から出すとたちまちどこかへ行ってしまいそうでした。
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花林舎動物記
平成20年6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今回は第17回「インコと娘の涙-1」です。
第17回インコと娘の涙-1
こんなにもなつくものか
これはもう20年近く前の話です。
次女が中学生の時、友達からインコを1羽もらってきました。スズメくらいの大きさでよく人に慣れた、いわゆる〝手のり〟の鳥です。それでもはじめのうちは少し私たちを怖がっている様子が見られましたが、日が経つにつれて動作が落ち着いてきて、安心した様子が感じられるようになってきました。当時私は小岩井農場を辞めて、造園の設計事務所を設立し2~3年経ったころで、家にいることが多かったため、インコの世話はほとんど私がすることになりました。もらってきた次女は全くと言ってよいほどインコには構わなくなりました。部活などもあって昼間は家にいませんから止むを得ないことだったと思います。
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花林舎動物記
平成20年6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今回は第16回「蝙蝠との出会い」です。
第16回蝙蝠(コウモリ)との出会い
コウモリはかわいい動物
コウモリといえば、吸血鬼ドラキュラを連想して気味悪く思う人が多いようですが、実はとてもかわいい動物です。
私が子供のころ育った家の周りには以前馬検場だったという原っぱがあり、近所の子供たちは毎日そこで遊んでいたのですが、夏の夕暮れ時になるとどこから来るのかコウモリが現れてひらひらと高く低く飛び回るのです。これを見ると子供たちは石や木切れなどを空に投げ上げます。するとコウモリはさっと近寄ってくるのですが、それが餌でないとわかるとなんだというように離れていきます。何度やってもコウモリは近寄っては離れることを繰り返します。子供心にもコウモリにすまないなという気持ちもありましたが、やめられません。空が濃い灰色になってコウモリが見えなくなり、家に帰らなければならなくなるまで遊びました。
ですから私はずっとコウモリはかわいい動物だと思っていました。今の家に住むようになってから、どうにかしてコウモリが我が家に住み着いて、時々は家の中をひらひらと飛びまわったりしないかなあと思うようになりました。
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私が泊まっていたコテージ。ここでコウモリに出会った。残念ながらコウモリの写真が見当たらず・・・。
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花林舎動物記
平成20年6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今回は第15回「ダニの「あなた任せ」人生」です。
第15回ダニの「あなた任せ」人生
ササや木の枝から決死のダイビング
我が家の犬達は以前、山林の中を駆け巡っては、たくさんのダニをくっつけて帰ってきました(今は老衰して寝てばかりいます。今年の冬のある日、犬小屋の中で冷たくなっていることでしょう)。
このダニはまことに「あなた任せ」の生き方をしているように私には思えるのですが、それでも死に絶えることなくずっと生き続けているのですから、人間社会のダニと同じく案外うまい生き方なのかもしれません。
犬につくダニは初めは体長1~2ミリしかなく、よく目を凝らして見ないと見えないほど小さい生き物です。林の中のササや木の枝に付いていて、下を動物が通りかかると落下してその動物に取り付くのだそうです。うまく動物の上に落ちればいいのですが、外れてしまうとまた木によじ登ってやり直すのでしょうか。それとも「エイめんどくさい、もう俺の人生はこれでおしまい」とふてくされてやめてしまうのでしょうか。そこのところは、ダニの本にも書いてありません。それにしても、あんなに小さいダニを観察してこういう行動を発見した研究者はたいしたもんだと思います。
我が家の犬達は1頭が1年間に(雪融け後間もなくの頃から秋の中ごろまで)100匹以上のダニに寄生されていましたから、めくらめっぽうのようなダニの作戦も意外に効率がいいのでしょう。それとも山野の藪の中はダニで満ち満ちているのでしょうか。
ダニの方からすると、犬や人が通りかかる確率は極めて稀なわけで、通常は野鼠、野兎、狐、タヌキ、テン、リス、鹿、猪、熊といった野生動物たちに取り付いてその血を吸って生きているのです。
ある時外で仕事をしていて、可愛い野鼠を1匹捕まえました。捕らえ方が悪かったのかすぐに死んでしまったのですが、あまりにもきれいな鼠でしたので子供達に見せてやろうと思い、ビニールの袋に入れておきました。ところが、2、3時間して取り出してみたら、何と無数の小さいダニが鼠の死体の表面をうごめいているではありませんか。鼠が死んで生き血を吸えなくなったダニ達が移動しようとして体表に出てきたのだと気が付きましたが、その数の多いことにびっくりしました。
1匹の小さい鼠にこれほど多数のダニがついているのですから、自然界のダニの数たるや想像もつかないほどの量であると推測されます。
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この野兎は目のまわりに3匹、目の先2cmほどのところに1匹と、計4匹のダニが付いている。
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花林舎動物記
平成20年6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今回は第14回「山羊を飼う③」です。
第14回山羊を飼う③
牝山羊の悲劇
さて、これまでの経過を簡単に振り返ってみますと、①85年5月に山羊2頭を連れて来る。②86年3月6日に仔山羊2頭生まれる。③86年9月14日に2回目の仔山羊が2頭生まれる。
ということで、このままだと親山羊を含めて6頭になっていたはずです。しかし、こんなに多くなると餌にする草を集めるのも容易ではなく、農家ならともかく会社勤めをしながら飼うのは困難になってきました。そこで誰か山羊をもらってくれる人がいないだろうかと探していたら、50キロくらい離れたところにある観光地で山羊を飼っているところがあり、そこの社長さんが好運にも知り合いでしたので、頼んで引き取ってもらいました。ちょっとの間ですが育てた山羊達ですから気になって後で見に行ったのですが、他の山羊に苛められている様子もなく、元気でしたので安心しました。
こうして3年目の冬も2頭でしたので餌も何とか集めることができました。3回目の出産は87年の4月の予定でしたが、このとき悲劇が起こったのです。
4月5日頃までは何事もなく順調のように見えました。牝山羊は元気で腹が大きくなり、以前の例や日数を計算してみると、もう明日にも生まれるだろう、明朝見たら小さい仔山羊がいるんじゃないか、と思っていたのです。ところが予定日をすぎても生まれず、腹はますます大きくなり、牝山羊は次第に苦しそうな表情になり、元気が無くなって来ました。どんな原因かわかりませんが仔が生まれないのです。これは大変なことになったぞと思い、近所の獣医を呼んで診てもらいました。しかし、彼は自信無さそうに首を振って「何もしないよりはいいか」という感じで注射を1本打っただけで帰ってしまいました。
その翌朝小屋に行って見ると牝山羊は冷たくなって横たわっていました。こうして、お姫様のようにきれいでおっとりしていた牝山羊は、わが家に来てからたった2年で彼岸の地へ旅立ってしまいました。
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花林舎動物記
平成20年6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今回は第13回「山羊を飼う②」です。
第13回山羊を飼う②
手向かう山羊
日が経つにつれて山羊たちは成長し、仔獣の体形から成獣の体形へと変わってきました。日本で一般に飼われている山羊の体形を長方形とすると、この山羊は正方形といっていいほど体長が短く引き締まった形をしていました。そして前にも書いたように、動作が活発で走るのも速いのです。野生種の血が入っているのではないかと推測されます。
牝山羊は成熟しても可愛い姿は変わらず、おとなしくてお嬢さん風でしたが、牡山羊はだんだん気性が荒くなってきました。どうもやっぱり野生の血が濃いのではないでしょうか。会社に勤めながらの草集めも大変なので休日などには外の空地へ放して草を食べさせることもありました。夕方になって小屋に入れようとすると、初めの頃は素直に従っていたのですが、だんだん服従しなくなってきました。
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日本で一般的に見られる山羊。
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花林舎動物記
平成20年6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今月は第12回「山羊を飼う①」です。
第12回山羊を飼う①
これは今から20年も前、私が小岩井駅前の小さな貸家に住んでいた頃の話です。
遠路山羊をもらいに行く
1985年の冬が終わる頃、1通の手紙が届きました。差出人は私が小岩井に来る前に勤めていた職場で世話になった人で「あなたは、いつか山羊を飼ってみたいと言っていたが、私は今年停年退職するので、記念にあなたに山羊をひとつがい贈呈することにした。知り合いの牧場が茨城県にあるので引き取りに行ってもらいたい。その山羊は動物実験用に改良された小型の山羊である」という内容でした。
私はそんな話をしたということも忘れてしまっていたのですが、飼ってみたい気持ちはありましたし、私の話を覚えていてわざわざ手配をして下さったご厚意に応えるためにもありがたく頂戴することにしました。
その頃私はまだ会社に勤めていましたので、先方と打ち合わせた結果、5月のゴールデンウィーク後の日曜日に行くことにしました。先方の住所を頼りに地図を調べて見ると、福島県の須賀川で高速道を降りて一般道を3時間ほど行かなければなりません。それまで車では仙台までしか行ったことのない私にとっては、一挙に3倍近い距離を行って帰って来なければならないわけです。
車を運転するとすぐ眠くなってしまう私が、1日で往復できる距離とは思えません。これは大変なことになった、と内心青くなりましたが、この頃は長女が小学校高学年、次女が2年生くらいで、もっとも父親の威厳を示さなければならない時期ですから、そんな素振りを見せるわけにはいきません。
さて当日は朝8時に出発しました。普通の人ならもっと早く5時とか6時には出かけるでしょうが、朝寝坊の私はたまに早く起きるとたちまち体調を崩してしまい、2時間も走ると居眠り運転をする可能性がありますので、いつも通り遅く起きて出発しました。当時はトラックは無く、乗用車しか持っていませんでしたので、後部座席を取り外して古い毛布を敷き、そこに仔山羊を乗せることにしました。
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小屋の中で休んでいる山羊たち。
実験用に改良された小型の山羊で、普通の山羊とは体系が違う。
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花林舎動物記
平成20年6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今月は第11回「刺されても恐れず憎まずスズメバチ〈その3〉」です。
第11回刺されても恐れず憎まずスズメバチ〈その3〉
スズメバチは何を食べるのか
ミツバチが花の蜜と花粉を主食にしていることはよく知られていますから、ハチはどの種類でも蜜を吸って生きているのだろうと考えている人が多いと思いますが、スズメバチは肉食で他の昆虫を狩って餌とし、幼虫もそれで養っているのです。たいていの昆虫を食べ、虫類の王者のようなカマキリやクモさえもオオスズメバチには簡単に食われてしまうというのですから驚きです。
虫を狩る時の主たる武器は毒針ではなく強力なアゴだそうです。私を襲ったキイロスズメバチはその強いアゴでしっかりと私の額に噛み付き、払い落されないようにしておいてから毒液を注射したのですから、まことにケンカ慣れしているというか、格闘技の達人のようなところがあります。
ところで、ふと思ったのですがハチを払い落とさず心ゆくまで刺すに任せておいたらいったい何秒くらい刺しているものなのでしょうか。またその時はどれくらい腫れるものでしょうか。わたしはその動物実験に自分の身体を提供する勇気はありませんが、そんなことを思いついてはかわいそうな動物達に酷い実験を施している医学研究者が世界中に無数にいます。
思えば、私達は中学や高校でパヴロフの条件反射というものを習って、1つ賢くなったような気になっていたのですが、その真理を見出すために、胃に穴を開けられ苦痛の内に死んでいった犬達のことも同時に教えられなければならなかったのではないでしょうか。
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完成した巣。
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花林舎動物記
平成20年6月から「花林舎動物記」という楽しい動物のお話を読み切りで掲載しています。この「花林舎動物記」とは、滝沢村にある(株)野田坂緑研究所発行(所長 野田坂伸也氏)の会員限定情報誌「花林舎ガーデニング便り」の中で最も人気がある連載記事です。今月は第10回「刺されても恐れず憎まずスズメバチ〈その2〉」です。
第10回刺されても恐れず憎まずスズメバチ〈その2〉
ついにやられちゃった
8月になると巣は急速に大きくなり、ハチの数も見えるだけで数十匹に増えましたが、私達は慣れっこになって平気でその下を通って休憩室に出入りし、お茶を飲んだりしていました。もっとも前に書きましたように、休憩室の主な利用者は妻とパートの女性1人でした。
スズメバチは夏の終わり頃から凶暴性が増す、といわれているのですが、私達の友好関係も8月下旬に突如終止符を打つことになりました。
8月25日。この日は全員で社内の花苗の手入をしていました。私は自宅で書類を作成していました。
3時半ごろ妻が家に飛び込んできて「スズメバチに刺されちゃった」と言うのです。そして軟膏を探して刺されたところに塗り付けました。
休み時間になって5人の作業者がドヤドヤと休憩室に入ったのがハチを刺激したのではないか、というのが妻の考えでした。皆が椅子に座ったところをハチが襲い、妻とパートの女性が刺されたそうです。若い男性2人と女性1人は運良く襲われなかったので、急いで室を飛び出し助かったそうです。
私は若い3人に「年寄りを助けないで若い者が真っ先に逃げるとは何事だ」と叱るつもりで現場の方に行ってみますと、若者達は巣から10メートル以上離れた所に寄り添って立ち、青い顔をして震えていましたので、叱るのはやめました。
完成した巣を下から見上げたところ
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